2026.06.07
台風・豪雨の前に確認をー「どこへ逃げるか」は、雨が強まる前に決めておくー
台風や豪雨が近づくと、「どのくらい雨が降るのか」「台風はどこを通るのか」が気になります。
もちろん、雨量や進路は大切です。
ただし、命を守るためにまず確認したいのは、自分のいる場所が危険かどうかです。
同じ市町村の中でも、川の近く、低い土地、崖のそば、山沿い、海沿いでは、起こりやすい災害が違います。大雨になる前に、自宅や職場、学校の周辺にどんなリスクがあるのかを確認しておきましょう。
まず見るのは「ハザードマップ」
最初に確認したいのが、ハザードマップです。
自宅の場所に色が塗られている場合、浸水や土砂災害などの危険がある地域です。こうした場所では、原則として自宅の外へ移動する「立退き避難」が必要になります。
一方で、色が塗られていない場所でも、必ず安全とは限りません。周囲より低い土地や崖の近くでは、想定外の浸水や土砂災害が起きることがあります。自治体の避難情報や最新の気象情報を確認し、危険を感じたら早めに行動してください。

内閣府は、台風や豪雨の前に自分の避難行動を確認できる資料として「避難行動判定フロー」を示しています。自宅が危険な区域に入っているか、どこへ避難するかを考えるときに役立ちます。
内閣府資料「避難行動判定フロー」はこちら
https://www.gov-online.go.jp/fusuigai/typhoonworking/pdf/houkoku/campaign.pdf
避難は「避難所へ行くこと」だけではない
避難と聞くと、小学校や公民館などへ行くことを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、避難とは「難」を「避」けることです。
目的は、今いる危険な場所から離れ、より安全な場所で身を守ることです。
避難先は、市区町村が指定する避難場所だけではありません。安全な場所に住む親戚や知人の家も選択肢になります。普段から相談しておけば、いざという時の現実的な避難先になります。首相官邸の防災情報でも、立退き避難が必要な場合には、指定避難場所や安全な親戚・知人宅への避難が考えられると示されています。
また、安全な場所にいる人が、無理に外へ出る必要はありません。
豪雨の中での移動は、かえって危険になることがあります。
自宅にとどまれる場合もある
浸水のおそれがある地域でも、すべての人が必ず外へ避難しなければならないわけではありません
自宅で安全を確保する「屋内安全確保」が選択肢になる場合もあります。
目安となるのは、次の3つです。
✅ 洪水で家が倒れたり崩れたりするおそれがある区域に入っていない
✅ 想定される浸水の深さより高い場所に部屋がある
✅ 水が引くまで過ごせる水・食料などの備えがある
この3つを満たす場合は、自宅の上階などにとどまる判断も考えられます。政府の防災情報でも、ハザードマップなどで条件を確認し、自宅が安全だと判断できる場合は屋内安全確保も考えるよう示されています。
ただし、土砂災害のおそれがある場所や、洪水で家屋が倒壊するおそれがある区域では、屋内に残る判断は危険です。早めの立退き避難を考えてください。
防災気象情報も「レベル」で確認を
2026年5月29日から、新たな防災気象情報の運用が始まりました。
これまで、河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮に関する情報は、警戒レベルとの関係が複雑で分かりにくい面がありました。今回の改善により、避難情報の5段階の警戒レベルに対応し、避難の判断をしやすくなっています。
たとえば、これまでの大雨警報は「レベル3大雨警報」という名称に変わり、レベルの数字と一緒に情報が伝えられます。レベル4やレベル3の情報が発表された場合は、キキクルや河川の水位情報などを確認し、早めの避難を心がけてください。
自治体から避難指示が出ていなくても、危険度が高まっている場合があります。避難情報だけを待つのではなく、雨雲の発達、川の水位、土砂災害の危険度なども合わせて確認しましょう。

雨が強くなってからでは遅いことがある
台風や豪雨では、数時間で状況が一気に悪化することがあります。
道路が冠水する。
用水路や側溝との境目が見えなくなる。
川の水位が急に上がる。
斜面が崩れる。
停電で情報が取りにくくなる。
こうした状況になってから移動するのは危険です。
特に、夜間に雨のピークが予想される場合は、明るいうちの避難を考えてください。高齢者や小さな子どもがいる家庭、ペットがいる家庭、薬や医療機器が必要な人がいる家庭では、避難に時間がかかります。
「避難情報が出てから準備する」のではなく、避難情報が出る前に準備を終えておくことが大切です。
台風が来る前に確認したいこと
台風や大雨の前に、家族で次のことを確認しておきましょう。
✅ 自宅はハザードマップで危険な区域に入っているか
✅ 浸水、土砂災害、高潮のどのリスクがあるか
✅ 避難先はどこか
✅ 避難経路に川沿い、アンダーパス、崖沿いの道はないか
✅ 高齢者、子ども、妊産婦、障害のある人など、早めの避難が必要な人はいるか
✅ 水、食料、薬、モバイルバッテリー、ライト、現金、保険証などは準備できているか
✅ 自宅にとどまる場合、上階で過ごせるか、水が引くまで備蓄があるか
避難は、特別な行動ではありません。
自分と家族を守るための、日常の延長にある備えです。
「まだ大丈夫」ではなく「今なら動ける」で判断を
大雨災害で怖いのは、「まだ大丈夫」と思っているうちに、避難が難しくなることです。
予報や警報は、不安をあおるための情報ではありません。
安全なうちに行動するための情報です。
危険な場所にいる人は、警戒レベル4までに避難を。
避難に時間がかかる人は、警戒レベル3で避難を。
安全な場所にいる人は、無理に外へ出ず、その場で安全を確保する判断を。
台風や豪雨は、毎年のように各地で被害をもたらします。
だからこそ、雨が降る前にハザードマップを開き、避難先を決めておく。
その一手が、いざという時の命を守ります。
関連リンク
内閣府資料「避難行動判定フロー」
https://www.gov-online.go.jp/fusuigai/typhoonworking/pdf/houkoku/campaign.pdf
内閣府 防災情報のページ「避難情報に関するガイドラインの改定」
https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/
気象庁「新たな防災気象情報について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/index.html