2025.05.05
鉄トピ 「山手線に“上り”と“下り”がないって知ってた?」
山手線に「上り」「下り」ってあるの?──ぐるぐる走る電車のナゾに迫る!
毎日ぐるぐる回っている山手線。東京のど真ん中を走るこの便利な路線、ふと疑問に思いませんか?
「あれ?この電車って“上り”?“下り”?どっち?」
普通、鉄道には「上り」と「下り」があるんですが、山手線みたいに輪っかのように回る”環状運転”だと、その概念がちょっとややこしいんです。今回は、その秘密を楽しく解き明かしていきます!
🚄「上り」「下り」ってどう決まるの?
まず基本のキ。
鉄道における「上り」「下り」は、路線の起点から終点に向かうのが「下り」、その逆が「上り」です。特にJRの路線では、東京駅が起点になっていることが多いので、東京へ向かう=「上り」、東京を出て地方へ行く=「下り」というのが一般的なんです。
🗾でも、世の中そんなに単純じゃない
たとえば、東京と名古屋を内陸経由でつなぐ中央本線。
起点は東京駅で終点は名古屋駅なのですが、途中の塩尻駅というところで、「上り」と「下り」がひっくり返ります!
・東京から塩尻へ:下り
・名古屋から塩尻へ:下り
・塩尻から東京 or 名古屋へ:上り
……つまり、どっちから来ても塩尻が“下りの終点”になるという変則ルール。これは「大都市から地方へが下り」という慣習を尊重した結果なんですね。
🚉京浜東北線や湘南新宿ラインも例外パターン!
東京を中心に広がる京浜東北線や湘南新宿ラインなんかも、「上り」「下り」ではなく、運行上は「南行」「北行」といった呼び方をすることもあります。
でも裏では、
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上り列車:偶数の列車番号
-
下り列車:奇数の列車番号
なんていうルールがあって、ちゃんと使い分けはされているんですよ。鉄道の世界って奥深い…!
⭕で、山手線はどうなの?
さて本題。山手線は、グルグル回る環状運転をしています。ぐるぐる回っているのに、「上り」「下り」なんて分けたら……
え?今どっち向き?
品川から新宿行ったら下りだけど、次は田端って?上り?
……と、大混乱になること間違いなし。
そこで山手線では、「上り」「下り」という区別ではなく、【「内回り」と「外回り」】という呼び方をしています!
🕘内回り?外回り?どっちがどっち?
日本の電車は道路と同じで左側通行。これをもとに考えると、
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外回り:時計回り(東京→品川→渋谷→新宿→池袋→上野…)
-
内回り:反時計回り(東京→上野→池袋→新宿→品川…)
こうなります。駅の表示やアナウンスでも「内回り」「外回り」としっかり案内してくれていますので、安心してくださいね。
🚋ぐるぐる回っても、ルールはしっかり
というわけで、山手線には「上り」も「下り」もありません。でも、それにはしっかりとした理由と工夫があるんです。
毎日何気なく乗っている電車にも、こんな奥深い“ルールの世界”があるなんて、ちょっと面白くないですか?
🔎豆知識:ほかの環状線は?
ちなみに、大阪の大阪環状線や、名古屋のあおなみ線(名古屋臨海高速鉄道)にも、似たような「内回り・外回り」の考え方が使われていますよ。
次に山手線に乗るときは、ちょっと頭の中でぐるっと回ってみてください。
方向音痴の人も、電車の“まわり方”で道がわかるかも…?
【参考文献:読めば読むほどおもしろい 鉄道の雑学 浅井建爾 ISBN978-4-8379-8733-8】